くすぐりフェチによる創作ブログ。ここに書くのは雑多なことばかり。『はじめに』に作品へのリンクがあります。
00:51:36
 でも書いちゃうのは、現実逃避なんです。

 次作、決まりました。
 Title:サキュバスがドMで何が悪い! (仮)

 何だか、今回のタイトルはラノベ調しか思い浮かばなかったです(´゜д゜)公開する時に、もう一度考えてみます。
 『えっ、くすぐり? バッチコーイ!』系サキュバスと青年のお話。
 自分は、結構そうゆう系統の女の子のが好きです。


 という訳で、書いた分の文を続きから。エロ直前まで。
 なお、この文章は後にいくらでも変わります。

 続きは、さすがに修羅場後。
.




 非日常。それは、何て図々しいものなのだろう。
 奴らはいつだって、俺たちの日常にいけしゃあしゃあと入り込んでくる。
 『自分こそが日常だ』、まるでそう言ってくるかのように。

 あいつは、まさにそうだった。
 突然で、無茶苦茶で、失礼極まりない、非日常。

 それが、まさか俺の日常になるなんて、思いもしなかったさ。


     ある日の青年の独白より。


 ~・~・~


 薄汚れた白壁、傷の付いたフローリング、安っぽい家具。
 そこは、何ら変哲もないアパートのワンルーム。
 その端に置かれた小さなベッドの上に、異彩を放つ存在があった。

 一人の少女が、四肢を縄で縛り付けられていたのだ。


「離して……っ。私に何をするつもりなの……!?」

 黒い下着姿の彼女は、ベッドの上でしきりに動かない両手足を揺すり続ける。
 しかし、柔らかな肌に喰い込んだ荒縄は、決して彼女を離そうとはしない。ギシギシとした耳障りな音が、部屋の中を空しく響かせるだけだった。

「嫌、来ないで、お願い……っ!」

 そんな彼女を、一人の青年が見下ろしていた。
 彼はベッドの傍に立ち、じっと、横たわる少女を見つめ続ける。
 その視線に、少女の身体は小刻みに震え出してゆく。

「助けて……! お願い、誰か……、助けて……っ!!」

 徐々に切羽詰まってゆく少女の声。力の籠る腕と脚。
 それでも、一向に解けはしない縄。

 少女の思考が加速してゆく。
 この青年は、一体自分に何をするのだろう。
 それを考える度に、少女の身体の震えは大きくなってゆく。息が荒くなる。瞳孔が開いてゆく。
 彼女の意識は、次々と溢れてくる思考の渦に呑み込まれてゆく。

 そして、この部屋の持ち主である青年は、とうとう口を開くのだった。

「……お前は…………」
「ひっ!? 嫌、誰かぁ……っ!!?」


「他人の家に上がり込んで、何やってんの?」
「……えへっ、緊縛ごっこ」
「と言うか、お前、誰?」

 額に青筋を浮かべている青年に、少女は満面の笑みで答えた。

「サキュバスですっ、初めまして!」


 青年とサキュバスの出逢い。それは、酷く常識外れなものだった。
 しかしそれは、いずれ彼らの日常になる。
 賑やかで、奇怪で、妖しい日常に。


 ――サキュバスがドMで何が悪い!――


 ~・~・~


 青年、優真は絶句した。
 大学から帰った直後のことだった。彼はいつものように友人と別れ、いつものように帰路に着く。鍵を差し込み、ドアノブを捻り、靴を脱ぎ捨て、そしていつものように部屋の中に入る。
 すると、ベッドの上で下着姿の少女が独り悶えていたのだ。

「いやーん、離してーっ」
「ちょっと、黙れ」

 荒縄をわざとギシギシ響かせる少女に、優真のこめかみがぴくぴくと震えた。

――とにかく、落ち着こう――

 優真は一度深く息を吐くと、部屋に不法侵入している少女のことをじっと観察した。


「えっ、視姦? 視姦しちゃう? ばっち来いっ!」
 
 そう言いながらフンスと息を鳴らして腰をくねくね蠢かせる彼女は、紛れもなく美少女だった。

 まず目に付いたのは、紫色の髪だった。世界中を回ってもそう見ることはないだろうアメジスト色の髪は、丸みのある顔に合わせて短く切ってある。個性的な色でありながら、それは決して不自然さを感じさせはしない。髪が彼女の可愛らしい容姿を、容姿が彼女の美しい髪を、互いに引き立て合っているようにすら見えた。
 切れ長の眼は刃のよう、触れれば切れてしまいそうな程に鋭く美しい。その中で煌めく濃紺の瞳は、見つめればそのまま吸い込まれてしまうような深さを感じさせた。

 そして、その身体も、魅力的で悩ましかった。
 薄橙色の肌は滑らかで健康的。緩やかな曲線を描く肢体からは、女性的な魅力が満ち溢れていた。
 中でも、彼女の胸は異彩を放っていた。そう大きくはない身体からは考えられない程に、彼女の胸は大きく、仰向けに寝たままであってもその形の良さは一目瞭然だった。
 レースで出来た黒い下着が、彼女の身体をより一層引き立てていた。

「私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! してよ!!」
「その口縫い合わすぞ」
「あぁんっ、その容赦のなさが素敵っ」

 町を歩けば誰もが振り返るような美少女。そんな彼女が、自分の部屋で一人大の字で悶えている。
 考えれば考える程に、訳が分からなかった。
 ――どうやって縛ったんだ――状況の余りの不可解さに、彼はそんな疑問を思い浮かべる余裕すらなかった。


「お前は、何処の、誰で、何をしに来たんだ。全部答えろ」

 結局、優真は自分で結論を導き出すことを諦めた。

「私は、魔界の、サキュバスで、ドMですっ!」

 そして、彼女の答えは現実から酷くかけ離れていた。
 付け加えれば、最後の一つは質問に答えてすらいなかった。
 優真は、最早どこから掘り下げれば良いのかも分からなくなっていた。

「あ、これ証拠」

 優真の思考の停止など意にも介さず、少女は側頭部から灰色の角をにょきりと突き出させる。
 長さは10センチメートル程か、曲がった円錐状のそれは、耳の少し上から彼女の頭上に向けて緩やかな曲線を描いている。

 優真は辛うじて口には出さなかったものの、突然飛び出た象牙のようなそれに、心臓が飛び出るような心地がした。

「ほらほら、角、角。見せれば信じてくれるって友達言ってた。寝っ転がってるから、羽と尻尾は後でね」

 そう言いながら、にょっきにょっきと角を出したり引っ込めたりしている姿は何ともシュールなもの。
 しかし、優真が彼女の頭を観察しても、そこに何か仕掛けられている様子は見当たらない。彼は、それが確かに彼女の頭の中から飛び出していることを確かめると、痛みを感じる頭を抑え付けて再度溜息を付いた。


「……名前は」

 その質問は、再び角を隠した彼女の存在を認めたというよりは、思考を放棄している風だった。

「kぅりol圡9ティ瑠kr~」
「……何だ?」
「やっぱり分からない? こっちの言葉じゃないからねぇ~」
「あぁそう」
「ねねっ、君がこっち用の名前付けてよ。友達が人間の彼氏から名前付けて貰ったって自慢してきてさぁ、もう羨ましいの何のってぇっ」

 彼女はそう頬を膨らませると、悔しそうに身体をぱたぱたとさせ始める。
 拘束された身体は、満足に動かすことは出来ない。それでも、彼女が可愛らしく蠢く度に、くびれた腰はくねくねと妖しく蠢き、豊満な胸はたぷたぷと艶めかしく揺れる。
 酷く目に毒な彼女の様子を、優真は無視した。


「それで、何の用で来た」
「乱暴されに。エロ同人みたいに」

 即答だった。
 実は、おおよそ予想は出来ていた答え。それでも優真は溜息を付いた。

「……帰れ」

 サキュバス、夜な夜な男性の寝床に潜り込み、精を奪ってゆく。
 そんなことは、そうマニアックな知識でもないだろう。とすれば、ここに来た理由も明白だった。
 ――俺は、帰宅直後なんだけどな――彼は心の中で付け足した。

「えぇーっ、駄目ぇ? 私魅力ないー?」
「そうゆう問題じゃない、勘弁してくれ」
「サキュバスって、人間の精液がないと死んじゃうんだよぉ? 貴方、私を殺すつもり? 酷いわっ、このサキュバス殺しっ!」
「……別に、俺じゃなくても良いだろ。余所でやってくれ」

 優真は、彼女に背を向けて額に手を当てた。

 魅力がない訳ではなかった。
 可愛らしい顔付きに、豊満な肢体。少々、いや、かなり喧し過ぎることを除けば、彼女は魅力的過ぎるぐらいだった。

 ただ、彼はどうしてもその気になれなかった。
 喧しいからではない。サキュバスという存在に恐怖を抱いているわけでもない。
 それは、もっと別な理由。

 しかし、少女は笑う。まるで、その理由を見透かしているかのように。

「ただ何となく、貴方の所に来たと思う?」

 いつしか、会話は少女のペース。彼女は、そのひょうきんな口調に、ほんの少しだけの艶を乗せた。
 そして、彼女の言葉に、彼は再び振り返らざるを得ないのだった。


「……どうせなら、性癖の合う人としたいじゃない?」
「っ!」
「とても他人には言えない、偏執的な趣味だもの……ねぇ?」

 その瞬間、優真は初めて動揺した。
 身体がぎくりと震え、頬に赤みが差す。

 部屋の空気が変わる。
 日常を過ごしてきた狭い部屋が、彼女という非日常に呑み込まれてゆく。 
 薄汚れた白壁、傷の付いたフローリング、安っぽい家具。その全てが、優真にはいつもと違うものに感じた。

「貴方ってかっこいいし、ドSそうだし。相性ばっちりじゃない?」
「お前……っ」

――どうして、それを――
 しかし、優真の口からはその言葉は出なかった。


「ねぇ。普通のエッチじゃ嫌なんでしょう? だから、気が乗らなかったんでしょう?」

 最早、優真はサキュバスの術中。視線は彼女の肢体に釘付けになり、耳は彼女の声しか聞こえない。

「他人には言えない性癖、吐き出してみたくない? 他の女の子には出来ないこと、私に全部ぶちまけてみない?」

 彼女は依然、身体を大の字に縛られたまま。それでも、彼女は彼の全てを支配していた。
 彼女の肢体が、彼の視線を縛り付ける。彼女の声が、彼の心を縛り付ける。

 被虐性癖を有していても、その本質は変わらない。
 彼女は、サキュバスだった。


「……後悔、するなよ」

 そして、優真は努めて静かな口調で、短く言い放った。
 整った顔は朱色に染まり、口からは荒く息が漏れていることを、彼自身は気付いてはいない。

「ふふっ、する訳ないじゃない」

 見る者全てを魅了させる笑みを浮かべる彼女に、優真は手を伸ばしていった。


 ~・~・~


コメント
コメントの投稿










トラックバック
トラックバックURL
→http://kurenaiworks.blog.fc2.com/tb.php/177-0d0b97ed
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)